三郷町はどんなところ?

土地

 

恵那市は岐阜県の南東に位置しており、

東濃地方(美濃東部:他に多治見市、土岐市、瑞浪市、中津川市)の1市です。

 

-参考資料-

「平成25年版恵那市統計書」

 

その恵那市の中西部に三郷町はあります。

3区(野井、佐々良木、椋実)から成り立つので三郷という由来があるそうです。

 

なだらかな丘に並ぶ田畑や川、里山に囲まれており四季折々の風景が楽しめます。

屏風山の頂上にて

 

<主な山岳>

・屏風山(標高794m)         ・夕立山(標高727m)

<主な河川>

・木曽川系列: 永田川        ・庄内川系列: 土岐川、佐々良木川、椋実川、洞川

 

三郷の面積は24.92km2あり、恵那市の面積(504.19km2)の4.95%を占めています。

 

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人口と高齢化率は?

 

2015年12月31日の時点で、三郷町の人口は以下のとおりです:

  三郷町 恵那市 恵那市の%
男性 1200 25282 4.75%
女性 1297 27057 4.79%
合計 2497 52339 4.77%
世帯数 861 19615 4.39%

(恵那市より)

 

2015年12月31日の統計で、三郷町で65歳以上の人口は845名、高齢化率は約33.8%です。

約20年後の2035年の推計だと65歳以上の人口は778名と現在より減りますが、高齢化率は約44.8%まで上がると思われます。

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歴史・名前の由来

 

三郷町の歴史

 

明治22年6月、政府は町村の分合改称を行い、前町村名を大字として残すこととし、7月1日から新行政区に新町村制を実施した。その時三郷村を使用することとなった。三郷村は椋実、佐々良木、野井の三ヶ村が合併によって生まれた村だから三郷村と称することになった。

 

徳川時代には岩村藩の領内であった。昭和29年4月2町6村の統合によって、三郷町野井、三郷町佐々良木、三郷町椋実となり、現代にいたっている。

 

 

椋実という地名

 

むかし、八幡社の瑜伽社の脇にこのあたりでは珍しいとされる椋の木が一本だけあり、そこから地名が生じたといわれている。椋の木は暖地性で通常育つ木である。八幡社は明暦3年(1657年)に金比羅山の中腹から移遷したが、椋の木はそれ以前からここに自生していたのでその木の名をとって椋実といった。

 

 

佐々良木という地名

 

「ササラ」から来た地名と思われる。『地名語源辞典』は岩礁を佐々羅、讃良(ササラ)、佐々良木(ササラキ)と説明している。『巌邑府誌』では、佐々良木の地誌で、「土田駁瘠(ハクセキ)邑村在山間」と記している。駁瘠とは石の多い瘠せ地のことで、ササラキといったと思われる。

 

 

野井という地名

 

野井という地名は地形からついたものと思われる。『広漢和辞典』は、「野」は「ゆるやかな傾斜地」、「井」は「人が集まり住む所」と説明している。野井の地形は前山からゆるやかに傾斜していて、前山を水源とする清らかな川が流れ、縄文時代の古代から人が集まり住んでいたことを、下田遺跡、砦遺跡、前田遺跡、法仙寺遺跡、松林名遺跡などが実証しており、この地名が生まれた由来が頷かれる。

 

-参考資料-

「恵那市史 恵那市の地名」

恵那市三郷町自治連合会・恵那市観光協会三郷支部 「”ようこそ”自然豊かな町『三郷町』へ」

 

 

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三郷町に移住希望される方へ

 

三郷町は穏やかな傾斜の自然環境に恵まれ、名古屋圏まで通勤可能な場所なので三郷町へ移住したい、または興味がある方のお話をよく耳にします。ここでは三郷町に住む前に知っておいた方が良い情報を載せました。あくまでもここ数年移住された方々からいただいたコメントや、観察した際のアドバイスですので詳細はご自身でお確かめになられることをお勧めします。 

*(+)=プラスな要素  (-)=マイナスな要素 (±)=プラスとマイナス両方の要素

 

三郷町には平成24年の統計で63の事業所があります。その半割以上はサービス業や卸売・小売、医療・福祉といった第三次産業関係の業種です。三郷町は農業を除き地元に根付いた産業がないため、他地区へ働きに出る人の田畑や山がある落ち着いた環境のベッドタウンとして機能しています。

 

教育

三郷町にはみさとこども園(野井区)と三郷小学校(佐々良木区)があります。恵那西中学校までは自転車通学が可能です。

(+) 若い近所、子供が周りにいる

(+) 小学校の近くで徒歩で通学可能

(+) JRが近いので子供の教育選択が将来広がる

 

*えなスクールネットワーク恵那市の小学校14校・中学校8校・幼稚園3園・保育園13園の情報が観覧できます。

 

交通の便

三郷町に関わらず、恵那市の多くの地域では車がないと生活が不便な車社会です。車を運転されない場合は市内を自主運行しているコミュニティーバスの三郷線、またはJRが利用できます。中央線の武並駅が最寄り駅となり、三郷町内から車で5~15分で武並駅へ、武並駅から名古屋駅まで1時間かかります。

(-) ガソリン代が高い・どこに行くにも車が必要

(+) 武並駅から電車で座れる・インターから近い

(-) 通勤に時間がかかる

(-) 66号線沿いの野井橋あたりに柵がなく歩行者(通学する子供たち)が危ない

(-) 老後、一人になったら、運転できなくなったら心配

 

自然・農業

平成22年の統計によると、三郷町世帯数の約45%が農家として登録されています。そのうちの2/3は販売農家、1/3は自給的農家です。季節を通して色々な野菜や草花が育つため、三郷町の風景に変化を与え目を楽しませてくれます。

(+) 66号線沿いの広がる空とアルプスの山や棚田の景色

(+) 地域ごとの景観管理(草刈り)が行き届いている

(+) お米、お水が美味しい

(+) 農業のいろはを町内の方に教えていただける

(-) 佐々良木のお米は種もみ用なので、自分でお米を作っても結局お米を他から買わないといけない

(-) 広大な農地がない

(-) 自然農法が難しい

(-) 蛇やムカデなど生物が沢山いる

(+) 蛍が生存している

(+) 小山が近くにいろいろあるので軽いハイキングができる

 

買い物・食

都会の方は驚かれるかもしれませんが、三郷町には商店街やコンビニはありません。道の駅らっせぃみさとが町内で一番大きな商業施設で手打ちそばや野菜の直売店、そして恵那市の物産などが売られています。飲食店は数少なく、買い物や外食はほとんど他の地域へ出かけて済ませます。

(+) 豊富な新鮮農産物・野菜

(+) 野菜を近所からもらえる

(-) 生活に必要な買い物がなく不便

(-) らっせぃみさとは冬時何も野菜がない、恵那市住民じゃないと野菜が売れない

 

生活環境

三郷町はとても静かな場所で、耳を澄ませば野鳥や昆虫、自然の音が良く聞こえます。朝と夜、そして小学生の下校時間には町内放送が流れます。また、お昼12時と午後5時にもチャイムが鳴り、時計がなくても時間を知らせてくれます。

(±) 何もなくて不便なのが良い・田舎であって田舎でないところ

(+) 恵那市の中心部が近い・銀行や市役所で並ぶ必要がない

(+) 道の駅らっせぃみさとが目印

(+) 無尽文化や軽トラが並ぶ風景が面白い

(±) 静か

(-) 11月中旬から3月下旬まで寒く、電化製品だけでなく灯油、または薪を使用する暖房器具が必要

(-) 都市ガスではなくプロパンガスが普及しているためガス代が高い

(+) 夏は都会より2,3度涼しい

(-) 大雨や大雪が降る際、手入れの入っていない森林の木や竹が折れるなどで道をふさいでしまう

 

人・近所付き合い

移住するにあたり一番気を使うのは近所付き合いです。地方では都会とは人との付き合い方が全く異なります。「他人は他人」と割り切れる都会とは違い、農村文化がまだ残っている三郷町では地域は団結するもの、協力し合うものと暗黙の了解で成り立っています。自治会に入りお祭りや草刈りなど年間の行事に参加するのが一般的です。金銭的にも区費以外に地元神社の奉納費や消防団協力金、そしてご近所のご家族が亡くなったら均一5千円のお香典をお渡しするなど、その地域に入ったら貢献しながら少しずつ地域に馴染んでいくのを地元の方は望んでいます。「私は関係ない」「忙しい」という理由で地域の風習に参加されたくない方はきちんと区長さんやご近所に説明をしてご理解を得てください。

 

三郷の住民はシャイな方が多いのですが、きちんと自身から歩み寄れば徐々に打ち解けられます。半世紀ほど前に他の地域から三郷町の一部(野井区)を開拓して移住された方が多く住まわれているので、移住者を迎え入れる姿勢を持っています。

 

また都会より変化がない生活に慣れているせいか、少しでも見慣れない人や車、事態を見たり聞いたりするとその情報が瞬く間に近所の間で広がります。インターネットや新聞より早く、口頭による最強地元情報ネットワークがあります。

 

(+) 地域が閉鎖的ではない、開拓精神の人が多い地域

(±) 地主さんがやさしい、おせっかい

(±) まじめで実直な町民性

(+) 町内外で同世代の友達が多くできた

(-) 会議や会合がいつ終わるかわからない(井戸端会議)・時間を守らない(早すぎる)

(-) 情報収集が難しい、地域の特徴性が住むまでわからない(草刈りの重要性、町民としてのノルマ、子供会のことなど)

(-) 町民はシャイで打ち解けるまで時間がかかる・近所の方がやさしすぎて恐縮(お返しはどうすればよい?)

(-) 地域を超えたつながりがなかなかない・仕事をしていないと一人ですることがない

 

安全性

三郷町は比較的災害や犯罪が少ない地域です。地元の青年(近年は女性も)が活動する三郷消防団は市の消防本部と連携し災害時素早く対応していただけます。三郷町内で平成25年度の交通事故は50件ほどありました。三郷町警察官駐在所は振興事務所の南側に位置します。

(+) 災害時ライフラインがしっかりしている

 

サービス

医療施設は三郷診察所(佐々良木地区)があります。三郷小学校に救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)用のヘリポートも整備され、重症傷病者が出た場合は岐阜大学医学部附属病院からドクターヘリが出動され近くの医療機関に搬送されます。

 

福祉施設はグループホーム(野井区)や日中一人になってしまうシニア達を健康推進活動やレクリエーションを通じて介護予防や仲間づくりの機会を提供する「いきいき教室」(野井区)があります。学童保育もいきいき教室と同じ場所で行われています。

 

他には三郷郵便局(佐々良木地区)やJA東美濃農協営業所がご利用可能です。

 

(-) お祭りなどの地域イベントの手伝いの時に子供の面倒を見てくれるサービスがない

  

住居

使用されていない空き家はいくつか存在しますが、お仏壇や荷物が残されているため親戚の方が年間を通して数回空き家を訪れてはメンテナンスをしているのが現状です。中には大家さんがなくなった後、その親族の所在が分からないため物件が放置されているケースもあります。空き家を手放すと決めた場合、多くの大家さんはできれば物件を貸すより売りたいというのが本音です。

 

それでも中には貸家でも良いという大家さんはいらっしゃいます。すぐ移り住めるようなきれいな物件だけでなく、何年間も放置され、改修工事やリフォームする必要がある物件もありますのできちんと建物の状態を把握し大家さんと話し合ってください。

 

空き家情報を入手するには不動産に連絡するのも一つの手ですが、恵那市の空き家バンクに登録したり、物件が不動産登録される前に知り合いのつてをたどって大家さんと直接契約することをお勧めします。三郷町に知り合いがいないけど情報を得たい場合は恵那市役所推進部のふるさと活力推進室、または三郷町まちづくり委員会に一度ご連絡下さい。

 

(-) 三郷には貸家がなかなか見つからず、中古物件を購入する資金がなければ移住できない

(+) 恵那市では恵那市に移住する際いくつかの金銭的支援があります。該当するものは是非お申し込みください

 

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H26年度 武並・三郷景観まちづくりワークショップ三郷町の成果

景観まちづくりワークショップとは何?

恵那市は平成24年から「恵那市景観計画」を策定し、市全域を対象とした景観まちづくりをすすめています。地域の特徴や個性を反映したまちづくり活動のために、地域別に住民の皆さんと景観まちづくりワークショップを開催しています。 

恵那市景観計画

 

平成26年度は武並町・三郷町を対象とし、地域の魅力的な景観を未来に引き継ぎ、 住み続けたいまちづくりを考えるワークショップを4回開催しました。このワークショップでは、過去に策定した他地域の景観まちづくり計画にも携わっている早稲田大学のほか、日本大学・京都大学など教育機関の参加・調査協力を得て、地域住民の方と今後のまちづくりについて話し合いを行いました。平成27年6月にワークショップの成果報告を行いました。 

(恵那市役所 建設政策課 企画係より)

上:第1回目武並・三郷町合同WSの様子

 

2回目のワークショップは各地域でそれぞれ行われ、まちあるき(実際に地域を歩く、または写真でまちの景観をまわる)を学校関係者と一緒にすることにより地元の良い所を再確認・再発見していただけました。その後はグループに分かれ、まちあるきで確認した景観に対しての感想や地域の課題や資源などについて話し合っては大きな地図にその情報を書き込みました。

 

3回目のワークショップも引き続き各地域で行われました。前回集めた地域の魅力要素を整理しまとめ、それらを元に地域に大切なものをどのようにこの先守るのか、アクションプランを立てました。

 

最後のワークショップは1回目と同様武並・三郷町と合同で開催されました。それぞれの地域から出た町の良さ課題などを発表し、それぞれの地域の地図やアクションプランを他の地域の方々に見ていただき意見交換など行われました。

 

01全体第1回WSNL(完成版).pdf

04全体第4回WSNL(完成版)【概要版】圧縮版.pdf

 

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野井区

大切にしたいもの

  • 四季の風景
  • 手入れの良い農地
  • 祭りや年中行事
  • 野井川
  • 人と人とのつながりなど

景観まちづくりのコンセプト:野井

農のリズムに寄り添う「野井暮らし」のすすめ

下:野井区のアクションプラン

下:大切なものを明白にし、アクションプランとして野井に定住・移住する方に野井の魅力や守って欲しいことを伝える「お誘いシート」を作成。

02-3野井_第2回WSNL.pdf

03-3野井_第3回WSNL.pdf

 

 

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佐々良木区

 

大切にしたいもの

  • 棚田の管理
  • 歴史的農業用水
  • 茅葺の家など名所
  • 保育園跡地など

下:グループに分かれ、地図に景観の良い所や課題などの情報を落とし込む。そしてその情報を発表し共有する。

下:アクションプランとして地域の周遊ルート(徒歩・車)やルートのネーミングを考えてもらう

下:ビデオレター撮影

 

下:これからの10年プランを書き出す

景観まちづくりのコンセプト:佐々良木

コンパクトな農力、歴史的用水、眺望を活かした天空集落

下:佐々良木区のアクションプラン

02-4佐々良木_第2回WSNL.pdf

03-4佐々良木_第3回WSNL.pdf

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椋実区

 

大切にしたいもの

  • 清流
  • 野の花や植生
  • 椋実米
  • 人情
  • 手入れの文化など

下:まちの良い景観地や課題、ポテンシャルなどを地図につけていく。

景観まちづくりのコンセプト:椋実

清流の郷/野の花ミュージアム

下:椋実区のアクションプラン

貴重な郷環境を維持・再生し、「ここだけにしかないもの」をアピールする

 

実際にこの景観まちづくりワークショップを行うことにより、ポテンシャルがある美しい里山を荒廃させず、より価値のあるものとするべきだと多くの参加者が自分たちのまちに眠っている宝物を見直せた機会でした。ほどなくして椋実・殿畑の熱いハートを持った有志が「トノバッタ」という同好組織を立ち上げ、里山の自然を手入れしてグランドデザイン・「殿畑里山つつじ公園(仮称)」の整備事業を開始されました。

 

また、京都大学大学院・景観設計学分野 川崎研究室の学生達により作成された椋実の素晴らしいウェブサイトがありますので是非ご覧になってください。椋実の良さや課題などがとてもわかりやすくなっています。

https://mukunomi.wordpress.com/ 

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