解体屋さんとまちづくり

2016年02月08日 16:26

皆様こんにちは、三郷町ふるさと活性化協力隊のmeganeです。

 

新米さん、いらっしゃい

先日とある部会会議に出席した際、まちづくり委員会に興味があるという方が私達の活動がどんなものか知るため、会議を視聴されました。

随分と積極的な方だなぁ、とまちづくりにご興味を持っていただけるのが嬉しくてつい感心してしまいました。

 

ケモノの解体屋さん

その方は数年前三郷町に移住されており、地元の自然環境に関わるご活動をされています。

そして、つい最近地元のお知り合いの方とケモノの解体処理ビジネスを本格的に開始されました。ここでいうケモノとは、イノシシやシカ、そしてクマなどの農業に被害をもたらす動物を指します。これらの動物は血抜き作業をきちんと時間内に行えば、とても美味しいジビエ(野生獣肉)となります。

 

今までは解体作業場は恵那市内には串原や中野方にしかなかったため、ケモノを処理してもらうのに運びに行くのが大変でした。この間も大きな猪が走っている車にぶつかり、後ろから来た車にも支障が出てしまったと聞きました。そのイノシシは重すぎて人の力ではどうにもならなかったので、レッカー車を呼ぶ始末だったそうなのですが、このような大きなイノシシを遠くの解体処理業者さんの場所まで運ぶのは一大事です。

 

聞く話によると、慣れた方はイノシシなどを自分で捕まえ、そして自分でさばかれます。イノシシを打ち取ったあとすぐに血抜きなどの処理をすれば柔らかく、ケモノ臭くない美味しいお肉が食べれるそうですが、自己流でやっている方の中にはそう処理時間に気にしない方もいらっしゃいます。(ケモノ独特のにおいが好きな通な方もいらっしゃいます)

 

私も以前ベテランのオジサマから冷凍された猪肉を頂いたことがあります。「じっくり、強めの甘辛い味付けで煮込めば美味しく食べれるぞ」という言葉に従い調理してみましたが、思ったよりお肉は固く、口の中にイノシシ独特の味が残ったのが忘れられません。本当にケモノの肉を食べた!という実感がありました。

 

今回三郷町内にそのような解体処理場ができたので、地元の方たちの強い味方になることでしょう。これからは捕まえたケモノを各自で自己流にさばくのではなく、ぎふジビエ衛生ガイドラインに基づいた解体屋さんに頼めば安心して美味しいジビエが食べられること、間違いなしです。

 

地元資源としてのジビエ

近頃はジビエという言葉がだいぶ世間に浸透してきました。ついこの間も「ぎふジビエフェア2016」という岐阜・愛知のシェフたちが集まり、ジビエの勉強会が行われたり、「ぎふジビエ」というブランド化を図り、ジビエの流通量を増やすため県がサテライト施設を今年の4月から増やしていく予定だったり、とこれから少しずつ県も本気でジビエ流通対策に乗り出しているようです。隣町の山奥にあるジビエ・郷土料理屋さんが昨年度某グルメサイトで全国1位を獲得していたのも、時代の流れなのでしょうか。

 

農家を困らせているケモノの処理対策としてはとても良い方向に向かっているような気がします。どうか、このジビエ・ムーブメントが一時的な人気ではないことを、そして営利目的が行き過ぎた自然バランスを壊すことがない程度であるよう願います。

 

まちづくり委員会への入会方法

先程のケモノ解体屋さんのように、通常わがまちづくり委員会の部会員はよほど地元のまちづくりに興味がない限り、自ら手を挙げて入会する方はほとんどいません。それぞれの自治会の中から適正な人材が推薦・又は選出されます。悪くいえば、なかば強引に一本釣りされ、その役を引き受けなければなりません。これは一種の地域性なものだとは思うのですが、生活に支障が出ないのであれば大抵は数回断りながらも、いずれ消極的に引き受けるそうです。おそらく他の方もその地域に住んでいれば同じ運命だということをわかっているからだと思います。

 

もちろんまちづくりに関心があって役を続けていらっしゃる方も多数みえます。

 

まちづくり委員会の活動

現時点で部会員は2年間活動するようになっており、夜の部会会議や週末に行われるイベントや地域作業のお手伝いなど、様々なまちづくり活動に無償ボランティアとして貢献していただいています。部会は4つ(人口減少対策、都市交流・産業振興、教育文化・市民参画&健康福祉)+広報委員会があり、それぞれの活動内容は異なりますが、みな三郷町の現状を維持しより住みやすいまちにしよう、という思いの元活動されています。

 

市役所の職員によるサポートや市からの補助金(来年度から大幅減)があること、そしてまちづくり委員会には元・行政関連の方や自治連合会、観光協会などに通じている方々が多くみえるので、いろいろな企画を進めていくのに対策方法などをご存知でとても心強いです。

 

残念なことに、まだまちづくり委員会という名称や活動内容があまり町内でも浸透していないと最近聞きました。一応広報紙も年に数回発行して町内に配信していますが、それだけでは活動内容の詳細が分かりずらいのかもしれません。あまりインターネットを使用しない世代や、仕事が忙しくまちづくりに興味を持つ時間のない30~50代の町民にどのようにまちづくり委員会を知っていただき興味を持っていただけるのか、知名度アップがこれから大きな課題となっています。

 

最近は地方暮らしやUIJターンに興味がある方向けのウェブマガジンに三郷町のイベントを載せていただいたり、SNSなどで外部への活動・告知発信などを積極的に行っています。情報に敏感な都会の方達には少しずつ三郷町の情報が届き始めているので効果を実感できますが、知名度がもう少し上がればまちづくりをもっと盛り上げたい、一緒にやってみたい、という方も出てきてくれるかもしれません。特に20~50代のこれから町を支えていく世代には自分たちのまちのため、積極的にまちづくりに参加していただきたいのが個人的な感想です。

 

本当のまちづくり

地域には自治会、寺院や神社の役職、森林組合、営農組合、PTA、体育連盟、青少年育成会議、壮健クラブ(前老人会)、子供会、そしてむじんなどなど、まちづくり委員会以外にもその他いろいろな団体が存在し、それぞれの役職を兼務されている方が多くいらっしゃいます。本当に皆さんお休みの日にも地域に貢献されており、とても緊密な、素晴らしい地域システムが出来上がっています。

 

このように、「まちづくり」と大々的にうたわなくても、まちをつくることは本来地域の中で自然に発生し行われているのです。

 

しかし、ここ数年で人口減少や高齢化がどの地域でも進み、地域性を重視するより個々のあり方を優先する時代で地域性が希薄になってきています。都会は特に地域の繋がりが地方より少ないそうです。

 

三郷町の中には残念ながら「子供がいないから」や「面倒だから」という理由で年間行事が少しずつ行われなくなったり、老人クラブや婦人クラブが消滅してしまった自治会のケースがあります。その反対に、高齢化が確実に進み、人口減少の歯止めがかからなくなっている地域があります。それでもその地域の行事類はあえて続けて、集落の人たちとのつながりをできるだけ繋ぎ続けようと努力されている方々がいらっしゃいます。 

 

辞めること、壊すことはいつでもできる最終決断なのですが、あえて面倒なことを楽しみながら続けられる人たちがいる地域は彼らによってその町に住む質を維持・またはより良くなっており、素敵なまちづくりが行われています。地域に貢献することは一見大がかりなことかもしれませんが、自分の好きな(得意な)分野で住んでいるまちやコミュニティーと関わりを持つことで地域との関係性ができ、まちづくりに関わることが可能になるのだと思います。

 

ふるさと活性化協力隊という肩書を持つ私も、この仕事につくまでは地域密着型のまちづくり活動には関わったことはありませんでした。仕事を通じてボランティア活動などを年に数回行き、いろいろな地域の活性化の為飛び込み参加していましたが、特定の地域に根付き、その地域の為に継続的に活動するのは初めての経験です。まちづくりの活動を通してこの地域のことを良く知ることができたうえ、地元の方達とも顔見知りになれたことはかけがえのない貴重な体験となっています。

 

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