健康で幸せなコミュニティをどう育てていくか

2015年09月14日 10:11

こんにちは、三郷町ふるさと活性化協力隊のmeganeです。

 

先日中津川市地域医療ジャンボリーの地域保健医療福祉講演会を視聴してきました。

医療関係職でない、福祉活動も毛の生えた程度しか関わっていない私がなぜそのような所へ出かけたかというと、その日の講師が以前から個人的に注目していたコミュニティデザイナー・山崎亮さんだったからです。また、ありがたいことにお世話になっている方からこの講演についてお知らせがあったことも視聴するハードルを下げ、行きやすくしていただきました。

コミュニティデザインとは地域の人と人とのつながりをデザインすること。地元の人の意見をくまなく聞き取り、その中からその地域の問題解決策をみつけます。山崎さん率いるl-studioでは「どう話し合うか」をデザインされています。一見地味なワークショップやワールドカフェなどをイメージしてしまいますが、そこに一工夫、二工夫して笑いをたす努力をすることにより、人が楽しめるコミュニティ作りをお手伝いされています。

 

カジュアルスーツだけど下は短パンという今どきのスタイルでファッショニスト・山崎さんは都会の風をふかせながら壇上に登場されました。恵那ではなかなか見かけない恰好なので新鮮でした。たまに関西弁が混じる講演はとてもエネルギッシュで笑いが絶えず、知識は豊富でありながらざっくばらんとしており、とても親しみやすい風格の持ち主という印象を受けました。「笑いは5分に1度は入れるようにせなあかん」というポリシーのもと、実際に講演中は笑い声が絶えまないほど面白おかしく中津川市と人口規模が似ている地域プロジェクト事例のお話をされていました。

 

山崎さんは日本全国を飛び回り、各地のコミュニティに飛び込んでいっては沢山の方と接するため、まちづくりや福祉・教育・デザイン・行政・観光・etc.に通じている全国のキーパーソンと沢山のつながりを持っています。きっとどんな職業の方であってもお話ができる知識や技術があるのだと思います。似た様な興味を持っている人と知り合うと、自然と新たにその方のお知り合いを紹介され、世界がいつの間にか広がっていきます。尊敬する人や向上しあえる人、助け合える人とつながることで友達ネットワークはいつの間にかサポートネットワークとして機能していきます。富とはお金や物を保有することではなく、人とのつながりなんだと納得できました。個人的に田舎(地方)に住んでいると地域でのローカルなネットワークはとても濃厚であり、都会の様にサービスをお金で消費する文化ではないため、地域内で支えあうつながりがいかに重要かということを体験してわかるようになりました。しかし、地元限定で活動していると地域以外のネットワークを作るのが難しく、境遇者や新鮮味のある新たなネットワークを求めている自分がいるのも確かです。地元での生活を軸とするネットワーク、仕事のネットワーク、趣味のネットワークなど沢山のつながりの輪を持つことで人生がより豊かになることを肝に銘じ、少しずつ楽しいネットワークを増やしていけたら幸いです。

 

第3者のコンサルタントとして地域に入る時、山崎さんはじめstudio-Lが一番念を入れていることは、地元の人の声をとにかく聞くことです。あくまで聞く方に徹し、地元の人が本当に何を求めているのか明白にし、デザインを用いてその情報を整理することにより、関わった人々が誇りに思える地域のプロジェクトができるのだと山崎さんは言います。

 

設計事務所でランドスケープや設計の仕事から徐々にコミュニティをデザインすることに山崎さんは仕事の軸をシフトされました。デザインする対象は変わりましたが、それでも聞き入れた情報を整理しながらデザインするというプロセスを続けることで一味違う、楽しいコミュニティが形成されるのだと思います。

 

例えば将来の福祉についてお話しされていましたが、団塊世代以降の方たちは「かっこよさ」やおしゃれを知ってしまった世代です。現在の福祉の現場で行われている頭脳や指先の運動など取り入れられたお遊戯は活性化の為必要かもしれませんが、「洒落」ていないため、20年・30年先そのようなことはしたくない方が多くいらっしゃるそうです。山崎さん曰く、福祉の現場はまだデザインが入る余地が沢山あるとのこと。音楽で例えると、将来は民謡や大正・昭和初期時代に流れていた曲をただ歌うだけではなく、語り合えるように、もしくは演奏できるようになっているかもしれません。ジャズやロック、オペラにヒップホップなど流れるジャンルも幅広くなるかもしれません。かっこよいおじいちゃん・おばあちゃんが行きたくなるような福祉施設とは一体どんなものなのか、デザイナーが聞き手の要望を限りなく聞くことでデザインが福祉の現場を変える事もできるというコミュニティデザインのおもしろさと可能性を少し垣間見ることができました。

 

講演のタイトルは「健康で幸せなコミュニティをどう育てていくか」でした。特に印象的だったのは「幸せとは何か」ではなく、「豊かさとは何か」でもなく、「楽しさとは何か」について熱く語られたことです。楽しさとは富んでいる、豊かである、心が満ち足りていること。理性だけではうまれてこないもの。自ら楽しむこと、健康でいること、共感・共有できること、役立つこと、感謝されること。

 

楽しさを分析すると、受動することの楽しさ(お金を消費して誰かに楽しませてもらうこと)より、能動的な楽しさ(活動・参加する)のほうが楽しさの自給力が高く、自ら(または誰かと)行動して楽しむことで実践して初めて学ぶことも受動的な楽しさより身につくそうです。そして能動的な楽しさは圧倒的に田舎に住んでいる人のほうが体験できる楽しさで、東京や大阪などの大都会だと楽しさをお金で買う仕組みが強い為なかなか能動的な楽しさを手に入れることができないそうです。

真の楽しさを誰かと共有することで楽しさも反響し、楽しさの賞味期限も長くなります。健康で楽しいコミュニティとは、それぞれの人がそれぞれの楽しさを能動的に共有し、共存していくことなのかなと自分なりに解釈してみました。

 

最後に山崎さんの言葉で締めさせていただきます。

 

正論や正しい理性だけでは人は動かない。

人を動かすためには楽しい、美味しい、嬉しいなどの感情が必要。

「こうあるべきだからやってみよう」という正論ではなく、「楽しいからやってみよう」といった感情が主体となる活動をすると人は動く。

心が行動へ導き、行動がまちを変える

‐山崎亮

 

 

つながれば、ぼろ儲け!? 山崎亮が語るコミュニティーデザインという仕事。

コミュニティデザインの肝は福祉にあった! 山崎亮さんに聞く『人口減少社会を豊かに生きるヒント』 [ぼくらの未来シナリオ]

studio-L

 

 

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