第2回清流の国ぎふまちづくり実践隊養成講座@岩村&串原
2014年10月29日 16:07皆様こんにちは、三郷町ふるさと活性化協力隊のmeganeです。
秋も本番に入り、三郷でも少しずつですが紅葉が目につくようになってきました。そして、寒さに負け、ついに暖房も使い始めました…。それでも日中はじーっとして室内にいるより外の方で動いている方が暖かいのかなと感じます。
今回は岐阜の各地で活躍されている地域協力隊やふるさと活性化協力隊、学生さん方、そして郡上市の方々が恵那市に集合し、空き家活用に取り組まれている岩村と串原の2団体にそれぞれの活動を紹介していただく講座があり、私も参加してきました。7月にも一度中野方・飯地まちづくり委員会の方々に同行させていただき串原の空き家対策を見学しましたが、4か月後にもう一度訪れてその時に見逃したかもしれない空き家対策の鍵や前とは違う視点から物事が見えるかなと思い再度訪問です。
<ホットいわむら>
まず初めは岩村振興事務所にて岩村町のまちづくり実行部隊といわれる任意団体「ホットいわむら」の活動内容を岩村のふるさと協力隊として活躍されているSさんが講師として紹介されました。同じ協力隊でもSさんはもう今年度で3年目を迎えるベテランさんであり、ホット岩村のプレゼンをとてもスムーズに行われました。また、ふるさと協力隊OBで現在岩村でプラニング事務所を運営されているNさんがコーディネーターとしてサポートに入られていました。
団体の主な取り組みは少子高齢化や空き家対策、そして移住定住といったどこのまちでも共通するものでしたが、岩村独自の悩みは農村地域の空き家は少ないのに対し観光名物である城下町は6件に1件が空き家であるということでした。
自治会の援助でアンケートを各町内へ配っていただいたり、多くの家主さんはお盆以外帰省されない方が多いのをヒントに郵便ポストに空き家に対するアンケートを入れて置いたことにより空き家の実態が少しずつ把握できるようになったそうです。現在までに約50件の空き家情報をリスト化したと知り、空き家の深刻度が伝わりました。ホットいわむらの広報誌などで空き家対策チームの活動を町民に認知していただき、そのうちに所有している家を町のために使っていただきたいという方が現れたのでそこから空き家対策の実践に移られました。アンケート調査で得られた情報に基づき恵那市の空き家バンク登録者向けの空き家見学会を開催したりと、アンケートはとても役に立っていることが伺えます。
空き家対策で工面しなければならないのはお金だけでなく、人手の数も同じくらい重要です。ホット岩村の対策の1つ目は知り合いを通じ都内の大学生サークルを岩村に呼び寄せ、その空き家の清掃や不用品整理を合宿という名目で協力・実施していただいたそうです。若い人が関わることで教育的な要素が空き家対策に練りこまれ、企画した側と学生方お互いが得をするwin-winシチュエーションができたと思います。2つ目の対策は三郷町のあんじゃないの家のように補助金を申請し、参加体験型の「空き家利活用実践ワークショップ」を今年度5回開催され、改修工事された物件は期間限定のレコードショップとして生まれ変わりました。その他にもペンキ塗りを体験イベントとして人材を募集したりと、とても活発的に活動されています。
活動の説明終了後は岩村のまちへ繰り出し空き家を数件拝見しました。この仕事に就くまでは建築の仕事に関わっていましたので建物や空き家を見学するのは心躍る瞬間です。どれだけ朽ちていたとしても、まだ再生可能な物件であればその可能性の中に秘めてある素敵な空間をついつい妄想してしまいます。岩村の城下町は町屋で形成されているので普段見慣れていない町屋を奥の方まで見学するのはとても面白かったです。
上:美濃丈プラニングの事務所でもある清和堂スペースの前にて。ここも以前空き家だったところを修繕し、奥の部屋は事務所、そして道沿いの空間を活用し色々なプロジェクトをここで企画している。今回は石の彫刻家の個展スペースとして準備中でした。
上:2つ目の空き家見学。長さ50m近くある敷地の中に一つ一つの部屋が個々の建物に見えたり坪庭や土間があり、外なのか中なのかわからない空間が面白い。台所にはまだ井戸水用の手動ポンプがあった。
上:3つ目の空き家見学。元は染工場だった建物で構造はかなり歪み不安定だが、奥の方に向かうときれいだったであろう庭や離れ(倉庫?)が存在する。空き家対策チームの建築士はプロにこの物件の改修工事を行ってもらうには最低3千万はかかるとのこと。まちづくりの有志の方が家主が決めた取り壊しを中断し、個人的にこの物件を購入。将来はまちの活性化に向けてゲストハウスにしようと考案中だそう。
<奥矢作森林塾>
昼食後はマイクロバスで串原に向かい、奥矢作レクリエーションセンターにてNPO奥矢作森林塾主宰の大島さんが団体の活動内容の要点を紹介されました。奥矢作森林塾は昨年度の全国過疎問題シンポジウム2013inながさきで全国過疎地域自立促進連盟会長賞を受賞されました。
そもそも奥矢作森林塾の始まりは平成12年の大雨で矢作ダムに大量の流木がたまってしまった問題に直面した際だったそうです。まずは大規模な炭化窯を作り、流木や間伐材で炭を生産、出荷することに成功されました。また、流木が多いのは手を入れていない山が多く、間伐されていない山は細い木が育ち地盤も弱くなる問題には森林整備の講座や森林健康診断、間伐実習などを行い森林を健康にしてくれる人材育成に力を入れられています。
そして、移住定住促活動として恵那市ではどこよりも早く参加者が未来の移住者と想定した古民家リフォーム塾を開催し、今年で6回目を迎えています。地元の大工さんや建築士さんが監修し、住宅を購入された方が材料費をまかない、参加者は1泊2日分のご飯と宿泊代分の研修料を支払うシステムです。リフォーム塾に1年を通し参加することにより、地域の景観や四季を知ることはもちろん、地元の住民との関わり方やしきたり・食・文化などを肌で学べます。それだけではなく、地元の方たちも塾の参加者が地域に適合できる人材かどうか判断できる機会でもあるとても合理的な移住定住の方法で、全国的にもモデルケースとして取り上げられるようになりました。5年前は30件あった空き家も、現在は6、7件まで減らせた実績が素晴らしいです。実際に元塾生さん2人ののご自宅を訪問し、移住された経緯や移住してからの感想などを聞く機会もいただけました。三郷町のあんじゃないの家も奥矢作森林塾をモデルに1年を通し改修工事講座を行い、市内外から講座生を集めて古民家再生を行いました。現在は少し活動のペースが落ちていますが、理想としては奥矢作森林塾のように「串原に行けば必ず何かイベントがある」と思っていただけるような活動ができるよう模索中です。
上:第1期生のご自宅の前にて。家の裏の山でとれた間伐材を使用し川に橋を作ったり、小屋を作ったりと、とても今の生活を楽しんでいる様子でした。
最後は現在改修工事を行っている串原郷土館の現場を拝見しました。以前は「開かずの郷土館」といわれて使用されていなかった場所を、カフェとして再生するため今頑張っています。とても立派な構造や燻のかかった材木竹などふんだんに見られる立派な物件です。古民具が展示されている資料館の中のカフェははたしてまちの活性化・または人が集まる場所になるかどうか、とても楽しみです。来年3,4月にはオープンするそうですので是非足をお運びください。
この日はこれでおひらきとなりましたが、このようにエネルギーある空き家対策の活動を見学するにあたり、とても勇気をもらえるような気がします。「あそこもがんばっているんだから私たちもやってみよう!」と刺激をもらうことによる向上効果があると思うのですが、この気持ちを無駄にしないよう、そして個々の地域の住民方にもその思いをきちんと伝えて空き家対策が実行・実施できるようあきらめずに空き家対策の必要性を広めていきたいと思います。
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