少し肌寒い秋日和の10月18日(日)、あんじゃないの家で秋の交流会を開催しました。
今回は秋を楽しんでいただこうと、「〇〇の秋」に一番あてはまる参加者の「食欲」を季節の食材で満たし、そして数か月前から教育文化部会があんじゃないの家に古民具として置いてある木製の機織り機の修繕作業を行っていたので、秋の交流会に合わせ、機織り機や藍染めなどの「芸術」や「文化」も体験して頂くことになりました。
地元で採れる栗やキノコをふんだんに使用した山の秋料理を人口減少対策部会の会員が早朝から腕を振るって調理していただきました。大人数の分量を作ることはプロ並みの知識がないとなかなかできません。いつも感服です。
裏庭では昔ながらのおこわ炊きが行われていました。ドラム缶で作ったくど(かまど)の上に水を入れたお釜を乗せ、そしてその上におこわと剥き栗がふんだんに入ったせいろ(竹や木材で作られている蒸し器)2段が蓋をされていました。お釜の中の水が火で温められ蒸気になり、その蒸気が上流へ動く際せいろの中のものが調理される仕組みです。上下のせいろを時々順序を変えないと、下のせいろのものだけ蒸しが強く当たってしまいます。エネルギーを無駄にしない、とてもスマートな調理法で驚きました。
スタッフが調理している間、参加者は藍染め体験をスタート。室内でさっそくハンカチに「絞り」という模様を入れる技法をそれぞれ試しました。真ん中で指揮をされているのは藍染めと機織りの講師を務める教育文化部会員の稲垣さんです。
クルミや木棒、種やポリスチレンフォームのブロックなどをそれぞれ考えながら輪ゴムでハンカチに留めていきます。輪ゴムできつく縛った個所は藍染め液がつかないため、白が残ります。絞りに使用するものによって藍染め液のつき方が違い、色々なデザインができます。
絞りが終わった方から裏庭に周っていただき、ハンカチをまず水に浸してから藍染め液に60秒間浸しながらユラユラとハンカチを揺らしてハンカチに藍染め液を存分に含ませます。絞りで折込みを入れた場合も、きちんと布の間に藍染め液が入るよう監視しながらハンカチを動かし続けます。この時、60秒をキッカリと時計で計る方や、自分の頭の中で60を数える方など、それぞれの「60」という時間の違いがありましたが、これがそれぞれの特徴的な色の違いにつながります。
60秒藍染め液に浸した後はハンカチを軽く絞り、ハンカチに重なりがないようめいいっぱい広げて空気にあてます。こうすることにより、ハンカチに含まれた藍が酸化し緑色から青色に少しずつ変色していきます。布が重なっていると、そこに空気が当たらないため色があまり変色しません。参加者の皆さんは上手にハンカチを広げていました。
これで1回目の藍染めが終わり、藍色が薄いのが良い方はここでハンカチを水洗いし、絞りに使用したものや輪ゴムをはずし、もう一度流水の下できちんと水洗いをしてから染止めとして酢酸水にハンカチを浸して乾かしました。まだ色を濃くしたい方は藍染めをもう一回・二回ほど繰り返しハンカチを干しました。
藍染めの最中に、調理に関わっていたスタッフが参加されていた地元のセンパイにおこわの炊き具合を確認していただいていらっしゃいました。こうなれば主催者も参加者も関係ありません、お互い協力しあいながら良いご馳走を作ろうと地元ならではの微笑ましい一面でした。
早めに藍染め体験を終えた方は、隣の畑に植えていた枝豆を収穫体験して頂きました。イベント企画当時、当日は栗拾いができるだろうと予測していましたが、例年より早く秋は訪れてしまい、残念ながら栗は数週間前に終了してしまいました。そのため、急遽代わりになることを考えていたら育てていた大豆を利用し、畑体験をされたことのない参加者に枝豆の収穫をお手伝いしていただくことになりました。
畑から戻ると、いつの間にか沢山の作品がずらりと並んでおりました。どれも個性があり素敵な仕上がりです!
参加者もそれぞれの出来栄えを自己評価したり、他の方の作品を褒めたりと、自然と楽しい評論会がその場で行われていました。
左:先程収穫したばかりの枝豆を1段目のせいろに入れ、お昼に間に合うようおくどで蒸す。
右:蒸気が素敵です
調理スタッフの計らいで、芋ごねもち(里芋をご飯と一緒につぶし混ぜ、形を整えたもの)を準備してくださいました。参加者はそれを炭火で焼き、生姜醤油を表面に塗って味を染み込ませては、美味しく香るおこげができるまで焼いていただきました。匂いにつられてか周りに人だかりができていました。
遂に待っていたお昼タイムです!残念ながら、素晴らしい昼食の献立を写真に残す前についつい食べるほうに拍車がかかってしまい、全体図の写真を撮り忘れてしまいました…スミマセン。メインディッシュは栗おこわと具沢山のキノコ汁。この地方で好まれているイクチがふんだんに入っていました。その他にもおこわが苦手な方用に栗ごはんもご用意されていました。サイドディッシュには具沢山マカロニサラダ、サツマイモの天ぷら、里芋の煮物、漬物、採りたて新鮮枝豆、芋ごねもち等々食べきれないほどのホクホク美味しい秋のおごっつぉーでした。ご近所の方が持参して下さった畑のかぼちゃの煮物も美味しかったです。ご馳走様でした!
上:食事中の様子
下:メインディッシュの栗おこわ。ゴロゴロとした栗以外に小豆も沢山入っていました。
下:マイタケ、里芋、そして濃い紫・茶色のイクチ等がたっぷり入ったキノコ汁。喉越し最高で、ついついおかわりしました
食後は教育文化部会が修復した木製機織り機の説明と、実際に使用できるようになった機織り機で機織り体験をしました。機織りの説明を始めたあたりから、昔自分のおばあさんやお母さんが織物していたことを徐々に思い出された参加者が数名いて、とても鮮明に記憶に残っている体験や知識などをお話ししていただきました。
2階では皆、機織りのやり方を習得しようと熱心に講師の動きを観察されていました。
いざ参加者の織る番になると、最初は経糸に通す緯糸のシャトルを左右に飛ばす加減が難しかったり踏み木の踏み加減が分からなかったりと奮闘されていましたが、先生の指導を元に試行錯誤しながら数分後には皆試された方は確実に上達されていました。
機織り体験が終了した方から簡略お点前で一服していただきました。沢山新しい情報を頭に入れた後のお茶タイムは最高です。
そして最後は一人ずつ作品を発表していただき、今回の交流会の意見を頂きました。盛り沢山な内容の交流会となりましたが、食・文化・歴史を交えた交流は皆様満足して頂けたことを願います。
ご参加いただいた参加者の皆様、三郷へお越しいただきありがとうございました。またの機会に葵しましょう。部会員の皆様も準備・調理・説明に片付けと沢山の作業本当にありがとうございました。
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